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当ブログは「茨城県妖怪探検隊」のコンテンツです。茨城県在住の方が体験した「怖い出来事」、もしくは茨城県内で起きた「怖い出来事」を、文章として起こしたものです。 当ブログに掲載する恐怖体験には超常現象的でないものも含まれます。怪談実話ばかりではないことをご了承ください。 また、体験者や関係者のプライバシーを考慮し、一部の内容を修正してあります。
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 友人同士や家族同士で、同時に同じ歌を口ずさんだり、同時に同じ言葉を口にしたり、同時に同じ仕草をしたり、などということを経験したことはないだろうか。わたしと妻の間では、同じ歌を同じタイミングで口ずさんでいた、などということがたまにある。

「一緒に暮らしていると、体や心のリズムが一致するんじゃないかな」と妻は言っているが、わたしごときに真相がわかるはずがない。

 

 カール・ユングの分析心理学に集合的無意識という概念がある。「個人の体験に由来しない、人類に共通の心理的機能、つまり遺伝によって受け継がれた脳構造に由来するような、太古的な無意識」をいう。その中に存在する人類に共通の心理的機能を「元型」と呼ぶ。(『マンガユング「心の深層」の構造』講談社より引用)これによって人間の意識同士が交流するのだそうだ。そして、シンクロニシティ(共時性)、すなわち「意味ある偶然の一致」が起こるわけである。シンクロニシティはユングの深層心理学に基づいたものであり、超常現象とは分けて考えるべきなのだろうが、ユング自身もある時期は超常現象に対して関心を持っていた。

「偶然の一致」と一言で片づけてしまうと「単なる同時的な出来事」に過ぎない。それでもわたしたちの身の周りには、「単なる同時的な出来事」とは思えない、いや、「単なる同時的な出来事」では済ませたくない現象が、多々ある。

 

 日立市に在住の主婦M美さんは、「単なる同時的な出来事」とは思えない出来事を体験している。

 彼女が高校生のときのことだ。その日の朝、教室にM美さんの級友のF子さんの姿がなかった。そしてF子さんが登校してこないまま、国語の授業が始まった。

 M美さんは気が重かった。友人のF子さんがいないことは確かに気になるが、この憂鬱さは尋常ではない。しかも、こんなときに限ってM美さんは教科書の朗読に指名されてしまったのだ。

 気が乗らないまま教科書を持って立ち上がったM美さんだったが、その直後、彼女の体を激痛が襲った。何かが背中から胸に突き抜ける感じだった。

 なぜか、M美さんは心の内でF子さんに救いを求めていた。

 ――お願い、助けてF子ちゃん!

 朗読などできないまま硬直していると、教師は業を煮やしたのか、M美さんに席に着くように告げた。席に着いてしばらくすると、M美さんの激痛は治まった。

 数時間後、F子さんが遅れて登校してきた。

 M美さんが国語の授業中の出来事について伝えると、F子さんは目を丸くした。ちょうど同じ頃、F子さんも背中と胸に痛みを感じていたのである。

「ええっ、F子ちゃんもなの?」

「うん、家族ともめごとがあってね。言い争っているうちに、急に背中と胸が痛くなったの。M美ちゃんとわたし、なんだかシンクロしちゃったみたいだね」

 そう言うF子さんを見て、M美さんは思った。もしかすると、痛みに襲われる前に気が重かったのも、家族との諍いの最中にあったF子さんの気持ちとのシンクロだったのではないかと。 

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茨城県妖怪探検隊の隊長をやっています。
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