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殺人事件や自殺などの現場となった中古住宅を、事故物件という。
ウィキペディアには、「広義には不動産取引や賃貸借契約の対象となる土地・建物やアパート・マンションなどのうち、その物件の本体部分もしくは共用部分のいずれかにおいて、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものをいう。ただし、死亡原因によって事故物件と呼ばないものもあるなど、判断基準は明確に定まっていない」とある。
「死亡事故によって事故物件と呼ばないものもある」とはうまく言ったものだ。人が死んだ現場のすべてが事故物件なら、ほとんどの病院が該当するだろう。わたしの自宅でさえ祖母が息を引き取っているのだ。
そんな「事故物件」の情報を提供している「大島てる」というサイトがある。テレビなどで紹介されたこともあってご存じの方も多いと思うが、日本中の事故部物件をマップ上に表示しており、一つ一つ、住所や事件・事故の概略を紹介しているのだ。
大島てるでわたしの自宅周辺の事故物件を探してみたが、どうやらこのご近所にはないらしい。ほっと一安心、と思いきや、よく買い物に行く店が該当しているではないか。さらに調べてみると、その店を含めて事故物件が市内に六か所もあった。うち一か所は、東日本大震災で一人の方が亡くなった現場である。
県央地域に在住の会社員Sさんの話である。
Sさんの自宅の近所にYさんという老人が一人で暮らしていた。いわゆる独居老人である。
数年前、SさんはYさんの姿を数日も見ていないことに気づいた。さらに数日が経ち、Yさん宅から異臭が漂ってきた。通報によって駆けつけた警察がYさん宅を調べると、Yさんはすでに息を引き取っていた。異臭は腐敗したYさんの遺体から漂っていたのだ。
それからしばらくして、Yさんの住んでいた家に若い夫婦が越してきた。今時の若者といった感じの夫婦だが、愛想が良く、ご近所ともうまく付き合っている。だが、Sさんを初めとして、近所の誰もが、Yさんがそこで亡くなった、とは言えなかった。
事故物件である場合、仲介する不動産屋は、その物件が事故物件であることを入居者に伝えなくてはならない。だが、それを伝えなくてはならない対象は、事故物件となって最初の入居者だけである。二番目以降の入居者には伝える義務はないのだ。
ところがその若い夫婦は、事故物件と知ってか知らずか、いつも楽しそうである。とても事故物件に住んでいることを意識しているようには見えない。
そんな夫婦を見ているSさんら近所の住人のほうが、薄気味悪さ感じてしまうのだった。