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高萩市に在住のMさんは日立市の工場に勤めている。残業や夜勤、長期の出張もあるほど仕事は多忙だ。
彼が夜勤をしていたときである。
機械のオペレーターとして作業していたMさんは、ふと、背後に気配を感じた。職場にはMさん以外に三人しかいない。その三人はMさんの視界に入っている。気のせいか、もしくは別の職場から誰かが来たのだろうか。特に詮索することなく振り向くと、影のような黒いものが、すっとMさんの背後を横切った。Mさんは思わず目を凝らした。だが、黒いものはもう見えない。
Mさんが配属されている部門は三つの現場に分かれているのだが、そのうちMさんの職場以外の二つの職場で、以前からこのような得体の知れない黒いものが目撃されていた。しかしMさんは超常現象など信じていない。ならば不可解な現象を目の当たりにしても現実的にとらえるのは至極当然である。Mさんは気のせいであると思うことにした。
とはいえ、当時のその二つの職場に漂う不穏な空気はいかんともしがたいものがあった。Mさんの職場ではほとんど目撃されていないが、その二つの職場で働いておりかつ気になるになる人にしてみれば、たまったものではない。その黒いものが具体的な悪さをするわけではないのだが、気になるあまりに仕事に身が入らないのでは会社側としても差し支えがあるだろう。ついには「職場としてお祓いをしよう」という話にまで進展してしまったのだ。
そんなある日、霊感があると言われている同じ事業所の社員Aさんが、「この職場に霊はいるけれど、良い霊だからそのままにしておいたほうがいいよ」と告げた。霊感があるというAさんにそう言われたら納得するしかない。
結局、お祓いはされなかった。
その後、Mさんの職場で怪異は起きていないが、例の二つの職場では相変わらず黒いものが出没するという。もっとも、「良い霊」と聞いたせいか、依然と打って変わり、誰もが「また出たよ」とこぼす、その程度で済んでしまうらしい。